「少年たち 闇を突き抜けて」備忘録(二幕)

少年たち備忘録の続き!!です。

一幕についてはこちら


イムリーですが、2023年10月19日放送の素のまんま(岩本・佐久間回)で少年たちの話をしていました。

【ひかるくん発言まとめ】
・台本を書き始める前からここはこういう感じにしたいという意向を伝えていて、台本修正もやっている
・各セクションのプロの方と話して、映像・音響・照明・衣装は全部、もちろん振付でも入ってる
・その他ポスター、ロゴのデザイン、サブタイトル、グッズ、パンフレット中面、パンフレットで出演者が着てる衣装もやった

とのことで、今年の少年たちはひかるくんの意向が全て反映されていると言っても過言ではなかった…。それ以外にも色々とお話していたので、今年の少年たちを観劇された方はぜひ聴いてみてください(まだタイムフリーで聞けると思います!)。*1



閑話休題、二幕の備忘録です。
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Act2
13 刑務所内某所

二幕はJr.8人とJAEさんによる看守のパフォーマンスから。囚人役のJr.も看守の衣装を着てしれっと出てくるので該当担は楽しいだろうな~!この時の音楽、マイケル・ジャクソンのThey Don't Care About Us*2なんですよね。
すのすと版はジェシーが徴兵されたあとのパフォーマンスでやってたので(確かジェシー一人でだったような)懐かしかったな。後ろのスクリーンに看守長のシルエットが投影されたあとに奥から看守長が登場する演出も良かったです。

一幕終わりの時点で脱獄は一週間後って言ってたけど、このタイミングで那須がまた懲罰房に…(拷問フラグ)。


14 脱獄実行
真面目に新聞を読むフリをしながら脱獄について相談する囚人たち。この新聞、よーく見たら「松竹新聞」って名前のようで、どんなこと書いてあるのかが気になりました(笑)
脱獄のシーンは廻り舞台やセリ・すっぽんとあらゆる舞台機構を使っていて、テンポ良く進むので見ていて飽きなかった!!あと過去作って脱獄を決めてから即行動していたのでさすがにいきあたりばったりすぎない…?と思っていたんですが、今年は準備期間設けてたし、ちゃんと準備した感がありました(笑)
何故か鍵の明け方がわかり、何故かカードキーを持っていて、何故か道順がわかって…と全ての仕掛けを解いていく大昇(あと何故か階段が出てくる演出もありました)。私は特撮とかで初めて変身するはずなのに変身の掛け声とか決めポーズがわかったり、いきなりロボット操縦できたりする「ご都合主義」的なものかなーと思いながら見てたんですけど、実際どうなんだろう(笑)

看守の服を奪い看守のフリをして出てくる浮所、えびキス版では河合がこのポジションでした。浮所の登場かっこよかったな〜あと千井野看守が手を貸してくれるのも良かったです。

今年の拷問担当は那須。えびキス版ははっしー、すのすと版はいなくてHi美版はゆうぴーでした。看守長が花道から登場する都合なのかなんなのか、電気ショックが遠隔操作で起動する仕様になっていました。去年電気棒(?)だったよね?
拷問するだけじゃなくナイフまで出してきたのが怖い!足を刺したのも2人の夢がダンスだから、踊れなくしてやろうと思ったってことですよね。
相当な恨みを抱いてるとは思うんだけど、結局看守長と那須の間に何があったのかはわからず。。。浮所がフライパンで殴ってたのはちょっと可愛かったです(笑)

囚人たちが脱獄成功に期待をふくらませる一方で、大昇だけはずっと戸惑っているというか迷っている表情をしていたのがすごく印象的でした。このまま外の世界に出れたとしても、仲間にはそれぞれの家族が待っているのに自分にはいない。それがわかっていて躊躇っていたのかなと思います。

刑務所での大昇の一人称ってずっと「」ですが、囮になる!って言う時だけ「」に戻るんですよね(プロローグの大昇の一人称は「俺」)。そのあとすぐに言い直すけど、「俺が囮になる」の言い方が前後とは違うので、完全に記憶が戻っているかまではわからないけど、少なくとも一時的に復活している状態だと思いました。

大昇は戦争の時に目の前で家族を亡くしているので、家族を守れなかったことをずっと悔やんでいて、だから今度こそ「家族」を守りたいと思っている。その気持ちが「みんなは僕の家族だ、僕の夢は家族を守ることだ」に込められているのかなと思います。
撃たれた後の「何でみんな走ってくれないの…」の言い方があまりにも良すぎたし、このシーン本当に悲しかった…。

あと大昇を撃つときに看守長が二階右に登場するのが良かったです*3。双眼鏡でステージの上の自担をロックオンしてると気づかない演出。

♪あいつのぶんも生きる
龍我と浮所が刑務所にやってきた時と同じ背景ですが、このシーンでは雨。きっと涙雨の演出ですよね。
私が観劇した回では、曲終わりに藤井が「僕のせいだ…」と泣きながら言っていて、こちらも辛い気持ちになりました。


15 看守長失脚
今回、看守長をただの悪役で終わらせなかったのが大事なポイントだと思っていて*4、看守長の振る舞いは、自分の身に起こった悲劇を経て自分なりの「正義と秩序」を追い求めた結果だったと思います。
「俺の戦争はまだ終わっていない」という台詞は、一度戦争に巻き込まれてしまったら、仮に生き残ったとしても戦争が起こる前には戻れないということなのだと思うし、私たちだって看守長と同じ状況になってもおかしくない可能性を孕んでいるのだと思いました。


16 出所
♪君にこの歌を

囚人たちが刑期をまっとうし、元の生活に戻っていくシーン。歌いながら肩を組んだり目を合わせたりと表情や行動で前向きな気持ちが伝わってきたし、刑務所の中で構築された関係性が見えるやりとりをしていたのが良かったです。
龍我が最後の最後で刑務所に向かって一礼する姿がグッときました。


17 エピローグ
開演前のプレショーではまだ何もない花壇でしたが、エピローグではひまわりがたくさん咲いていて、赤いツナギの大昇が水をあげています。
そこで再会する5人。藤井の弟の手術は成功し、浮所と那須はダンスコンテストで賞を取ってる*5、金指はリサイクルショップを出して大儲け、龍我もパン屋を開いています。出所から2、3年後とかの設定かな?
あと「すっかり更地になってる」「残ったのはこれ(ブランコ)だけ」という台詞があるのが気になりました。実はひまわりって大昇にしか見えてないのかもしれない。

この後の大昇の「いつも通りの日々を送っていれば僕たちの世界は守られるのだと思っていた」という台詞、プロローグでも言ってるんですよね。
プロローグでは「それは間違いだった」と続き悲劇が始まるけど、エピローグでは「夢を語れる世界は当たり前ではない」「それでももう一度自分の足で立ち上がって仲間と一緒に夢を掴んだ」「もう未来を間違えたりしない」と5人が言葉を続ける形になっていて、戦前のプロローグと戦後のエピローグとで、台詞が持っている空気感というか意味合いが変わっているのがすごいです。

そのままハッピーエンドで終わるのかと思いきや、空気が一変し口々に叫ぶ5人。戦争への怒り??何を言っているのか聞き取れず…該当担の方々はわかったのかな。
この演出自体は割とあるものだと思いますが、ここで差し込むことによって観客の心にしっかり爪痕を残していくのがひかるくんだなと思いました。

「いつの時代も人は戦いに明け暮れる。人間の長い歴史で戦争がなかった日など一度もない。今日も世界のどこかで戦争が起こっている。今こうしている幸せ、戦争と無縁な人生、それが当たり前だと思っているのはこの国に住んでいる人だけだ!それを忘れてはいけない」

すのすと版では初年度はふっかで、次の年からはひかるくんが担当していた台詞です(多少のマイナーチェンジはしてる)。ジャニワでもこの台詞を言うシーンはあるのですらすら言える人も多いはず。
龍我の台詞の言い方がすごくひかるくんなんですよね…映像か何か見たのかな?日によって言い方を変えていましたが「この国に住んでいる人だけだ!」で声を張り上げていたのをよく覚えています。
今回の少年たちのテーマが「反戦」だからこそ取り入れたのだと思いました。

大昇が客席に背を向け、ポケットから警棒を取り出して育てたひまわりを斜めに切り裂く衝撃のラスト。紗幕が赤く斜めに塗りつぶされる演出に鳥肌が立ちました。
あの斜めに走った赤は少年たちのロゴの「少」の赤と同じ軌跡なので、観客が改めて今回のロゴを見たときにこのラストを思い起こさせるようになっているのが本当にすごい。

このシーンの解釈は見た人の数だけあると思うけど、私は「当たり前だと思っていることは突然当たり前ではなくなる」し「人は何度でも過ちを繰り返す」ということを伝えたかったのかなと思いました。「もう未来を間違えたりしない」という台詞に対するアンチテーゼなのかもしれません。
大昇が警棒を取り出した理由も色々議論されていると思いますが、警棒は看守長の象徴(つまり正義や秩序)だと思うので、それを使って大事に育てたひまわりを斬るという行為は、「人は奪う側にも奪われる側にもなり得ること」「時に正義は暴走し人を傷つけること」あとは「理不尽さ」を表現したかったのかな…と私は思いました。

この舞台はタイトルの通り“少年たち”の物語だけど、看守長もまたこの物語の影の主人公なんですよね。

余談ですが2018年の少年たちでは、大昇は“集団脱獄事件で仲間の犠牲になって死んだ少年”で、新入りの大我にしか見えない幽霊(衣装も赤いツナギだった)という役で出演していました。大我が刑務所にやってきた日に出会って日記を渡すのと、あとこの年はSnow Manと大我が刑務所の資料室で過去の資料を見るシーンがあって、そこで大我が資料に載っている写真を見て「俺この子(=大昇)に会ったことがある!」って言うんですよね。その資料が戦争があった時代の記録…とかの設定だったと思うので、今年の少年たちは2018年版のエピソードゼロということになるんじゃないのかな。。
このあたりの伏線回収は、実際に出演していたひかるくんにしか作れなかったと思いました。

今年の少年たちはえびキス版がベースになっていることもあり、話の流れ自体は「知ってる」作品ではあったけど、全く違うものを観た感覚がすごく強かったです。ジャニワもすのすと版少年たちも反戦へのメッセージが込められていたけど、アプローチの仕方がそれとは全然違いました。すのすと版ではジェシーが徴兵されて戦地で死ぬという流れだったし、ジャニワでは特攻隊の辞世の句や遺書を読む場面があったので、どちらかというと戦地に赴く兵士の視点が描かれていた印象で。

でも今回の舞台は、当たり前だと信じていた日常を奪われた後の世界なので、「もし当事者になったらあなたはどうする?」と問いかけられている感覚になったし、同時に恐怖を覚えました。これは勝手な想像でしかないですが、コロナ渦やウクライナ情勢を経て、ひかるくんの中で「当たり前の日常が当たり前でなくなる」ということがより現実味を帯びたのかもしれません。

落ち着いたらもう少しゆっくり舞台について考えてみたいな〜。
とりあえず今回はここまで(笑)。


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SHOW TIME

ショータイムに入る前にJr.たちによる紗幕前でのアクセントダンス(いわゆる場繋ぎ)。ここでのポイントはJr.たちの衣装だと思うんですが、みんな上下白で統一されているけど全員違うんですよね。白シャツの子もいれば白パーカーの子もいるし、あと身長によってパンツの形が違っていて(背の高い子は裾がワイドっぽくなってる)、一人ひとりに合った衣装だったので「その子のためだけ」感があってすごく良かった。

1 Sing it(美少年)
本編が観客の心に爪痕を残す終わり方をする分、キラキラのアイドル曲で始まるのが良い!紗幕に投影されるカラフルなネオンサインがすごく可愛かった~!
Sing itの歌詞を読むと、本編後の5人の心境のようにも思えてくるし「今日もI sing it to show you」の部分が「君にこの歌を」と重なってるのかな~と思ったりもしました。ショータイムの構成もひかるくんが決めているとのことなので、そういう意図で選曲したのかも?

2 じれったいね(ジャニーズJr./少年隊)
ひかるくんがジャズダンスのかっこ良さはとことん形にしたいとインタビュー*6で言っていたので、少年隊は納得の選曲。えびキス版のショータイムではMis Snow Manで少年隊のThe longest nightを踊っていたので(メンバーもちょうど8人だったし)、そういうルーツもあったのかもしれません。
揃いの衣装(黒タキシードに紫のネクタイ、胸ポケットに白いチーフ、白と黒のカマーバンドなのも最高)で踊るの本当に良い!ジャケット短め&パンツの丈が絶妙に短いからか足元の白ソックスが目を惹くのですが、ひかるくんのスタイリングっぽさを感じました。

3 単純すぎるラブソング*7内博貴
去年のショータイムは一人だったしディナーショーっぽい印象だったんですが、今年は全然違って衣装もカジュアルな明るいラブソングです。
この曲は「もし本編で戦争もなく幸せな日々が続いていたらどうだったのか」という裏設定があると博貴がブログ*8で言っていました。ひかるくんともこの話をしたそうで、衣装もデートのイメージとのこと。
この曲、途中からJr.がバックにつくのも見どころですよね。衣装替えもしてこれぞJr.!!!あと「精一杯の愛を歌うよ」でキュンハートしたり「このラブソングを」で投げキスっぽい振付がすごく可愛かった~!

4 Flicky(美少年)
めちゃくちゃかっこよかった!!!何から何まで最高でした。
Snow Man相手の振付だともっとクセが強くなるのかも?美 少年ナイズされてましたね。
美 少年のオリジナル曲を全部知ってるわけではないので認識が違っていたら申し訳ないんですが、正統派キラキラアイドル曲か、かっこいいけどトンチキ曲(Super Boysとか吉吉BangBang!とか…)のイメージだったので、新曲はこういう系統なんだ!?と思ったし、あと踊れる子たちのイメージがなかったので印象がガラッと変わったかも*9
セリに乗って登場するし廻り舞台も使うし、途中から登場するジャングルジムみたいなセットもすごく良かった。あれセット兼照明装置ですよね。とにかくやりたい放題だし、演舞場を知り尽くしてる感があって最高でした。あと照明が終始変態だなって思ったけど、特にサビのところが変態すぎて…(褒めてる)。照明に関してはたぶん床への映り方も拘っていると思うので、上階の席に入る方は一度双眼鏡下ろして見てほしいです。

5 We'll Be Together
最後はWe'll Be Together
この時に美 少年が着てたロングジャケット、すごくキラキラしてて似合ってたな~みんな顔が良いから豪華な衣装に負けてなくて感動しました。
担当が出てるとロックオンしちゃうタイプなので、いつも何がどうなってるのかまで把握せずに終わっちゃうんですが、今回は舞台機構含めて全景を見るようにしました*10。普段はそこに注目して見ることがないので不思議な感覚だった~(笑)ひかるくんが演出してなかったらこういう見方はしていないと思うので、新しい視点をくれて感謝です。


めちゃくちゃ長くなっちゃったけど書いてて楽しかった!
ここってこうじゃないかな?って思ったことがあればこちらまで。
ここまでお付き合いして下さった方々ありがとうございました!



 

 

*1:配信終了したのでリンク削除しました

*2:いにしえのおたくは昔この曲がどういう位置付けだったのかご存知かと…(笑)

*3:あの銃で果たして弾丸が届くのかは微妙なライン

*4:映画版の看守長には囚人たちに暴行されたという過去があったので、そこからヒントを得たのかも

*5:すのすと版だと、岩本とジェシーはうきなすと同じように昔は同じ夢を見ていた仲間同士で、色々あって仲違いし、ちゃんと和解する前にジェシーが死んでしまうのですが(2019年は死ななかった)、うきなすの二人はその後の未来がしっかり描かれているのが岩本担としては本当に羨ましかった!

*6:Stage fan vol.31

*7:ウチにおいでよ 2023.11.6参照

*8:ウチにおいでよ 2023.10.9参照

*9:こういうこと言ったら怒られるかもしれないけど…昔のSnow Manみたいだなって思ったんですよね。人数も同じだしオラオラ曲だし衣装も黒×金だしで見たことないのに見たことある!?!?と思っちゃったのは許してほしい(笑)

*10:2つのセリに3:3で分かれて乗っていて、最初は金指大昇那須が前列、浮所龍我藤井が後列、廻り舞台が回転するとそれが逆になるという見せ方をしていました(Jr.たちは舞台の前方で立ち位置固定)